マニュアルやカタログの翻訳で難しいのは、文章そのものではありません。図の番号、仕様表、型番や数値——ここが崩れると、資料として使えなくなります。
マニュアルやカタログを翻訳したい場面は、だいたい次の2つです。
どちらも、文章そのものは訳しやすいのです。難しいのは、文章以外の部分です。
マニュアルの図では、①②③の番号と引き出し線が部品を指し、その横に部品名が書かれています。文章をコピーして翻訳すると、図と説明が対応しなくなります。ファイルごと翻訳ツールに渡しても、図の中の小さな文字は、いちばん崩れやすい部分です(下の実例をご覧ください)。
「AC100V」「M6×20」「KX-2041」のような文字列は、そのまま残っていないと意味がありません。ツールによっては単位を置き換えたり、型番を普通の単語として訳したりすることがあるので、訳したあとは必ず原本と照らし合わせてください。
行と列が1つずれるだけで、どの数字がどの型番のものか分からなくなります。コピペでは、表はほぼ崩れます。PDFをファイルごと翻訳ツールに渡しても、表が1段落の文章になってしまうことがあります。
「危険」「警告」「注意」といった安全上の説明は、意味がずれると事故につながります。機械翻訳で下訳を作るのはかまいませんが、安全に関わる部分は、専門家やメーカーに確認してください。
マニュアルは数十ページ、数百ページになることも珍しくありません。Google翻訳は1ファイル10MB・300ページまで、Reglyphは1ファイル50ページまでです。長いマニュアルは、章ごとにファイルを分けてアップロードしてください。
アメリカ森林局の、のこぎりの使い方を説明した研修用マニュアルの1ページ(デジタルPDF、英語→日本語)です。本文、図の説明、部品の図が1ページに並んでいます。
見出し、本文、2つの図の説明は日本語になり、図も元の位置のままです。ただし、部品図の中の名前(Raker、Cutter teeth、Sawdust gullet など)は英語のまま残り、日本語になったのは図のタイトル「横挽き鋸の部品」だけでした。本文の段落の下には、うっすらと灰色の地も見えます。
同じページをGoogle翻訳にかけると、本文は日本語になりましたが、部品図の中の名前はすべて消え、何もない場所を指す矢印だけが残りました。
図の中の部品名は、Google翻訳では消え、Reglyphでは原文のまま残り、どちらも訳されませんでした。部品図が大事なマニュアルでは、訳したあとに原本と見比べて、部品名だけは別に確認してください。
架空の部品カタログを1ページ作り、印刷してスキャンしたPDFを想定して画像にしました(「サンプル精機」のステンレスボルト)。外形図、寸法・価格表、注意書き、関連製品の表があります。
12の品番と、すべての寸法・価格が元のマスに残り、表の行と列もずれていません。税抜の説明や注意書きも英語になりました。気になる点は3つあります。外形図の中の「① 頭部」「② ねじ部」「L(長さ)」は訳されていません。上の帯の英語タイトルが2行に折り返して、帯からはみ出しています。表の見出しの文字の大きさもそろっていません。
このページはスキャンPDFなので、Google翻訳では翻訳できません。
デジタルPDFをGoogle翻訳で訳すときの注意点はGoogle翻訳でPDFを翻訳する方法に、無料ツールの比べ方は無料でPDFを丸ごと翻訳する方法にまとめています。英語のマニュアルを日本語で読むなら英語のPDFを日本語にする方法、日本語の説明書や見積書を海外向けにするなら日本語の書類を英語にする方法もどうぞ。
できます。文字を選択できるデジタルPDFなら、Google翻訳やDeepLで翻訳できます。図の番号や表を元の位置に残したい場合は、Reglyphのように同じ位置に訳文を組み直すツールを使ってください。
できます。先にスキャンしてPDFにしてからアップロードします。Google翻訳はスキャンPDFを受け付けませんが、DeepLとReglyphは読み取れます。Reglyphは1日5ページまで無料、1ファイル50ページまでです。
日本語→英語のカタログで試したところ、品番・寸法・価格はすべて元のマスにそのまま残りました。ただし、どのツールを使う場合も、型番・数値・単位は訳したあとに原本と照らし合わせてください。
訳されるとは限りません。英語のマニュアルで試したところ、図の中の部品名はGoogle翻訳では消え、Reglyphでは英語のまま残りました。図の中の名前は、原本と見比べて別に確認してください。
Reglyphは1ファイル50ページまでなので、章ごとに分けてアップロードしてください。1日5ページまでは無料で、それ以上は有料プランが必要です。
内容を理解するために機械翻訳を使うのは問題ありません。署名や提出に使う正式な翻訳は、専門の翻訳者や翻訳会社に依頼してください。機械翻訳は、レイアウトをそろえた下訳づくりに使えます。
英語論文をPDFのまま日本語に翻訳する方法を、DeepL・Google翻訳・ChatGPT・Geminiの実際の出力で比較。2段組みや数式・表の崩れ、スキャン論文、無料で訳す方法、投稿前の英訳まで解説します。
PDFを無料で翻訳できる8つのツールに、同じスキャンページ(英語→日本語)を渡して比べました。スキャンPDFが読めるか、PDFで返ってくるか、表が崩れないか。用途別の選び方もまとめています。
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